娘がPSYのDADDYを爆音で聞きながら漢字練習していたらあなたはどうするか

娘がPSYにハマっている。

PSY(サイ)とは韓国の歌手であり、2012年に発売された江南スタイルは世界的に大流行した。

娘がこの江南スタイルに今頃ハマったため、娘が帰宅する夕方以降の我が家のリビングにはここのところずっと江南スタイルが鳴り響いていた。大好きなゲーム、スプラトゥーンをするときでさえiPadをそばに置き江南スタイルを流す始末だ。(シオカラ節の時といい、娘が電子音やEDM好きであることは間違いない)

そんな娘がさらにハマった曲がある。

DADDYである。

DADDYとはPSYが2015年に発表した曲であり、EDM好きの間ではすこぶる評価が高い曲である。MVも歌詞も変だが曲がとにかくめちゃくちゃカッコ良く、何より中毒性がある。

そんなDADDYに娘がハマらないはずがなかった。

娘は学校から帰宅すると真っ先にiPadでDADDYを流すようになった。

そもそもこのiPad、Z会の中学受験コースで必須であるために購入したものであり、勉強の時は常に机に置いておくのだが(Z会アプリで講師の授業動画を見ることもあれば、学習カレンダー進歩状況を記録したり、ドリルを解くこともある)

今日ふと見ると娘は爆音でDADDYを流しながら勉強していたのだ。

俺はてっきり飲み物でも飲みつつ動画鑑賞しているのかと思ったら、なんと爆音のDADDYをBGMに娘は漢字練習をしていた。

ちょっと待て。

確かに今日の勉強はiPadは使用しなくて良い。教材の(郵送されてくる紙ベースの)漢字ドリルを解くだけで、アプリを使用するのは最後に学習カレンダーに記録するときのみである。DADDYを流していても勉強ができないわけではない。

現に娘はノリノリで漢字練習を進めている。

しかし、だ。

本当に音楽を流しながら漢字練習ができるのか？とめ、はね、はらい等きちんと覚えられるのか？生きていく上ではあまり必要のないスキルではあるが、中学受験を自ら希望している(ようなしていないような)娘にとってはそこそこ大事な部分ではないのか。現に前回の到達度テストでは、とめ、はね、はらいが適当で国語の点数は良いものではなかった。

俺が「ねえ、それ聞きながら勉強できるの？」と声をかけると、怒られると思ったのか娘はやや曇った声で「うん…」と小さく頷いた。「この前の到達度テストでとめ、はね、はらいができなくて点数良くなかったでしょ。気を付けないといけないんじゃない？」俺が続けるとそうだねと娘は静かにDADDYを消した。俺はコーヒーを淹れにキッチンに行ったが、娘の背中はなんともしょんぼりして見えた。

そしてコーヒーを淹れながら、思ったんだ。

俺、漫画を描いているとき音楽かけているよな…

漫画を描いているとき、ブログを書いているとき、俺は音楽をかけている。お気に入りの曲を用意し、ヘッドホンを耳にかけるのがブログや漫画を描く合図。邪魔どころか音楽が作業をするときの始まりであり、ブースターである。

むしろ音楽がなければ、ひどくやる気が出ないだろう。

でかけるときだって一番テンションの下がる忘れ物がイヤホンである。財布やスマホに比べればなくてもなんとかなるが、落ち込み度は他の物の比ではない。

自分にとってかけがえのないもの、やる気を出すためのブースターを子供だけが制限されていい理由はどこにもない。勉強や作業は自分から楽しくしなければ続かないのは大人も子供も一緒であり、漢字ドリルなんて手を動かして覚える「作業」の意味合いが強いので音楽をかけることはむしろ良いことでさえあるはずなんだ。

しょんぼりしている娘に声をかけた。

俺「音楽聞いている方がドリル捗る？」

娘「うん」

俺「そうだよね。じゃあかけていいよ。パパもそうだから」

娘はにっこりするとコンマ1秒くらいのスピードでiPadを操作し、リビングに再びDADDYが鳴り響いた。ノリノリ状態になった娘は、そのままいつもの倍くらいの速度で漢字ドリルを終わらせた。

とめ、はね、はらいもばっちりだ。